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Vengeance(原題)のGreenTのレビュー・感想・評価

Vengeance(原題)(2022年製作の映画)
3.0
ベン(BJ・ノヴァック)は、ニューヨークのジャーナリスト。気軽に女性と"hook up"することを楽しみ、常に複数の女性と気軽な関係を楽しんでいる。そんな名前も憶えていないような女性の一人、エビリンの兄と名乗る男性から電話があり、エビリンは死んだと告げられる。どうやら、エビリンは家族にベンとは真剣交際をしていると言っていたらしい。

「あなたの妹とは遊びで寝てただけだよ」とはとても言えなかったベンは、葬式に参加することになってしまうが、それはテキサスの田舎だった・・・・。

BJ・ノヴァックって、知ってるけどどこで見たっけ?って思ったら『イングロリアス・バスターズ』か!今回は初監督作品らしいけど、脚本も書いてます。「ブルー・ステートの人がレッド・ステートに行ったらどーなるか」っていうアイデアを膨らませたのがこの脚本らしく、テキサスに取材旅行にまで行って書き上げた脚本らしいです。

オープニングにベンのライフスタイルを象徴するような社交のシーンでベンと喋ってるジョンってのがジョン・メイヤーだよね?と思ったらやっぱそうだった。この人デイヴ・シャペルとも仲良くて好感度高かったけど、なんかやらかして消えちゃいましたよね。

エビリンの死因はオピオイドのオーバードースだったんだけど、家族は殺人だと信じている模様。犯人の目星も付いているので、一緒に復讐に行こうという。しかし証拠は「第六感」だけだし、「なんで警察に届けないの」と言うと「警察は全て事故でかたずける」と言われてしまう。

つまりコレがレッド・ステートっぽいってステレオタイプらしい。「証拠」とかじゃなくて「第六感」で、警察は通さず自分たちで物事は解決する。自分で銃を持ってるのが当たり前の州だから。死因が事故でなく「殺人だ」と決めつけるのも「陰謀論が好きな右翼」って感じらしい。

で、ベンはニューヨークのユダヤ人で、バリバリのリベラル。しかもジャーナリスト!なので、自分が事件の全容を明かすと家族に約束する。

同時に、ベンはこの話を自分のポッドキャストでセンセーショナルに取り上げることにする。

ここが良くわからなくて、ベンはエロイズって女性の編集者みたいな人と働いていて、ポッドキャストの局?みたいなところでポッドキャストを制作しているらしい。ポッドキャストってあんなラジオ局みたいなところで制作しているの?

まあそれは些細な事なんだが、このベンはブルー・ステートのステレオタイプらしい。高学歴でリベラル、SNSを利用して自分の「声」を届けようと躍起になる・・・みたいな。

んで、ベンが殺人事件の調査をしていく過程で、テキサスの人たちの生活が浮き彫りになっていき、それはブルー・ステートの人たちが思っていたステレオタイプともちょっと違うって話。

あ!そうそう、中盤で、ベンは歌手を目指していたエビリンがレコーディングをした地元のレーベルに聞き込みに行くんだけど、ここのプロデューサーを演じるのがアシュトン・クッチャーなんだけど、すごい上手い!こんな役者さんだとは思わなかった。このプロデューサーは、元々ベンと同じ高学歴リベラルなんだけど、わざわざテキサスでレコード・レーベルを立ちあげた。この人のセリフが全部、アートとは、ジャーナリズムとは、現代のサブカルとは、SNS時代の弊害とは、みたいな、美味しいセリフはみんなこの人が言う!

この映画iMDbで6.8/10なんだけど、ふたを開けて見ると7から10まで評価の高い投稿ばかりですごい評判いい。テキサスの田舎の人の描写が面白いって言う人が多かったけど、私にはそーでもなかった。社会風刺は全編にちりばめられていて、なんでも知ってると思っていたベンが本当のテキサスを学んでいくってのは興味深かったし、それを殺人ミステリーと噛ませたのは上手いと思ったけど。

これ2022年の映画だから、明日のオスカーに該当する映画だったのね。あ、これってブラムハウス制作なんだよ。最初にブラムハウスのロゴが出て「なんだよ~ブラムハウスかよ!」って思ったけど、ブラムハウスって『セッション』とかも制作してるんだよね。

ネタバレはコメント欄で!
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