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Cairo 678(英題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

Cairo 678(英題)(2010年製作の映画)
4.2
【『ムーンナイト』監督が放つ、エジプト女性版『狼よさらば』】
※昔、キューバの映画館で観た時の感想を転載します。モハメド・ディアブ監督作の中で最も日本公開してほしい作品です。

本作は2010年に作られた社会派ドラマで、エジプトの男尊女卑が如何に酷いのかを群像劇で描いています。とにかくやたらと、女性たちがひったくりやスリ、ナンパに遭いまくります。そして本作はエジプト版『狼よさらば』、あるいは『天使の復讐』と言えよう。一人の女性が、ワザワザ満員バスに乗り込み、スリ犯の急所をナイフでブスりと刺すではありませんか!なかなかアグレッシブな展開に驚かされます。しかも、「わたし、悲劇の女なの」と華奢で常にビクビク怯えているのに、容赦なく男のタマを討ち取っていくのです。

また、監督はかなりの映画好きなんだろう。スリの描写はロベール・ブレッソンの『スリ』を意識したカメラワークになっている。そして、スタジアムで女性と刑事とが対決する場面は明らかに黒澤明の『野良犬』を意識している。

映画の中では男尊女卑社会を破壊できると言わんばかりの演出が過剰すぎる気もする。余計なショットも多いが、社会派ドラマとして、またエンタテインメントとして面白い作品でした。

※キューバの映画館調査レポート↓
https://france-chebunbun.com/2018/08/27/post-16537/
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