lazysaru

ファンタスティック・プラネットのlazysaruのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

50年前のフランスのアニメーション。絵柄がきれい。電子音のBGMは今の耳にはなんとも心細さや不安感を掻き立てるように聞こえて物語と合っていると感じた。何処かの惑星イガムを舞台に支配者側である巨人ドラーグ族と被支配者側の小人オム族の物語。絵柄的には体も大きく文化も進んでいるドラーグを青い肌ギョロ目の恐ろしい姿に、小柄で文化も遅れた原始人のようなオムを人類のような姿に描いているが、実際には恐ろしい容姿のドラーグの方が我々人間のカリカチュアである様に感じた。ドラーグは賢く洗練されており、彼らから見れば、虫けらのように小さく知能も低くそのくせ繁殖力だけは強く間引かなければどんどん増えてしまうオム達をはっきりと見下している。その相手が力と知恵をつけ自分たちを脅かしてきた時、自らの絶滅を避けるため恐らく不本意ながら和平の道を選ぶ。高慢さと背合わせの愚かさ。弱肉強食。わかり合うことの難しさと、わかり合えなくても利害のために共存することは可能であるという現実。無闇に多様性だの共存だの安易に口にされがちな今己を振り返らせてくれた。古びない良い映画。
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