MasaichiYaguchi

ワタシタチハニンゲンダ!のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ワタシタチハニンゲンダ!(2022年製作の映画)
3.8
本作は、入管の被収容者への非人道的な処遇の常態化をはじめ、高校無償化制度から朝鮮学校の排除、幼児教育・保育の無償化制度から外国人学校の排除、技能実習生に対する長時間・低賃金労働、暴力・不当解雇・恋愛禁止等の人権侵害事件の多発、難民認定の極端な制限など、様々な在日外国人に対する差別の実態を描く。
本作でも大きく取り上げられているが、入管の被収容者に対する劣悪な対応を一般の人々が認知したのは、2021年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(33)が名古屋入管で死亡したニュースではないかと思う。
彼女の死によって明らかにされた、長年ベールに包まれてきた入管の闇は、昨日今日のことではなく、戦後から続いていることであることを本作は紐解いていく。
具体的には、戦後、日本政府は、在日外国人の9割を占めていた韓国・朝鮮人の管理を主目的とする外国人登録法などを制定、更に後年、他国からの在留者が増えると、全ての外国人に対する法的・制度的な出入国管理政策を強化してきた。
その実態は、今年公開された「マイスモールランド」で分かり易く描かれている。
タイトルは、人権侵害に苦しむ外国人が異口同音に訴える「私たちは動物ではない。人間だ !」からきている。
ロシアのウクライナ侵攻で多数難民が来日したり、世界的にダイバーシティが叫ばれている中、日本の入管制度は大きな曲がり角にあると思う。