Mayo

ミセス・ハリス、パリへ行くのMayoのレビュー・感想・評価

3.9
とても優しく、幸せな気持ちをくれる映画でした。
大抵映画で泣いた後は、心が悲しみに支配されてしまったり、ぐるぐるとその作品のことを考えてしまったりするけれど、この映画はふわーっとしたしあわせな気分で映画館を出られる、そんなタイプのやつです。

家政婦として慎ましく暮らすエイダ。ある日、勤め先で一着のDiorのドレスと出会い、自分も欲しい!とお金を貯めて、パリへ。
パリのDior本店に乗り込んで、ドレスをオートクチュールで仕立ててもらう間、パリに滞在する数日間のお話。

初めて会った人をも一気に魅了するエイダが、パリでどんどん仲間を作って夢に近づいて行く様子が、何歳からでも夢を追うことができるという力強いアイコンになっていた。

Diorの世界に魅了されるエイダの表現がかわいらしい。ふわーっとローラーのついた何かに乗せられてドレスに近づいて行くような。夢の中のような表現。

前向きで、周りの人にも優しいエイダだけど、たくさん失敗もする。映画の間に何度もどん底に落ちる。でも、何度失敗しても、その度に立ち上がり、自分がどんな状態でも身の回りの人たちへの優しさを忘れないエイダ。
「周りの人に親切にしたことは、必ず自分に返ってくる」
これが本当にハッピーな映画のメッセージになっていた。

夢に向かってひたすら進むエイダだけれど、高級ドレスを一体何に使うのか?という質問を突きつけられ、迷う。
これはなんかとても深い議題で、色々と考えてしまった。私たちは何のために着飾るの?見せる場所がないと、着飾ってはいけないの?

ラストは好きな展開すぎて涙。こういうの弱いです。あるあるな展開も多かったかもしれないけど、3歩進んで2歩下がるような、どん底と突然の幸せを繰り返しながら、少しずつ前に進んでいく、そしていつも周りの人への優しさを忘れない主人公に元気付けられた。

Diorのモデル・ナターシャを演じていたアルバ・バチスタが最高に可愛く、彼女が選んだ道も最高。
ストライキによってパリの街中に散らばっているゴミも、ちゃんと伏線になってたのが良かった。
Mayo

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