ニタ

ミセス・ハリス、パリへ行くのニタのレビュー・感想・評価

3.9
予告編で大体わかった気でいたけど、もう一展開な感じ。
若くはない女性を主人公に据え、その“冒険”を描く。
プライドもあって自己主張もするおばちゃんの活躍は小気味良く、私のような世代には良作に感じられる作品でした✨

連れ合いに先立たれた時、自分はどのように生きるだろう。
時に失敗もし、トラブルにも見舞われるハリス。堅実に、親切に。正直な物言いこそすれ、思いやりを忘れない過ごし方。こんな風に前を向くことを忘れずに進めるだろうか。

自身の来し方と向かい合い、歩みを進めている友人がいます。どれほどの途方もない現実と対峙してきたのか、考えただけで言葉を失う。大切な人を失った後に見つめる行く末の中に、日々を生きる自分を見い出す静かな思い。それこそが勇気なのだろう。

この作品では、基本当たって砕けろ系なハリスの生き方に親しみが湧く。時にコミカルに描かれ、または物思いに沈んだり憤りを隠さない様子など、豊かな感情の中で生き生きと動いていく彼女に、周囲が感化されていく。亡夫からの贈り物か、本人の徳か、いいことの連鎖には自然に笑顔を貰えた。

それにしても!
ディオール社のスタッフが親切過ぎる!!
最初に好意的にハリスに接してくれたのは『エール!』で主人公のおませな弟君に関わるお友達お姉さんだったような(今回はHじゃない!)。
美しいドレスの数々や製作工程、モデルにも目を奪われるのは言うまでもないが、恋愛が実っていくあったかさも味わえる。1950年代の空気、パリの街に散らかるゴミ(←ストをしている)が表す労働者の叫び、 あとお金って大事!が体感できる1本でした😊
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