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帰れない山のlololoのネタバレレビュー・内容・結末

帰れない山(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

正反対のようでよく似てて、でもやっぱり違うし一番分かり合っている二人の長い長い友情のお話。山の景色、何気ない会話が人生のどこかしらで静かに伏線回収されていくところも含めて、リアルな生き様だと思った。(氷河とか山頂とか本当に登ってるっぽい…?)

ずっと赤い服着てるピエトロ、お父さん譲りだったんだな…とか、過去の場面を思わせる描写がさりげなく入ってるところとか、別にミステリーってわけでもないのに「繋がった…」って気づいた途端「これが人生…!」ってなるのすごかった。
例えば、思い出せる限りでも
・子どもの頃に岩を持ち上げられなかった二人が大人になってから家造りのために二人で石の壁を蹴る
・ブルーノが行方不明になった話を電話で聞くピエトロが、ピエトロ父が亡くなった時のように夜に車を路肩に停めている
・ピエトロがヒマラヤで見た鳥葬の話→行方不明になったブルーノの話を語る映像に映るカラス

最初は「都会の子」「田舎の子」っていう真逆の見た目だった二人が、時々びっくりするほどそっくりな外見になったり、また違う見た目になったりするのも、人生の交差点って感じがした。確かに映画なんだけど、二人の人生をドキュメンタリーとして見てるような不思議な映画。

家を造る途中、ピエトロが「焚き火に魚、あの山々、そしてお前。一生これで満足だ」って言ったのに対して、ブルーノが「俺はどこにも行かない」って答えたあの瞬間が、もうある意味でブルーノの人生の最高に幸せな瞬間だったのかもしれない。

ピエトロのお母さん役のエレナ・リエッティ、見覚えあると思ってだけど「三つの鍵」にも出てた人だ…!静かだけど印象的な役だったな今回も…

全体的に、何か特別大きなことが起こるわけではない映画。いい映画だけど、147分はちょっと長く感じる(そういえば、劇中では、ブルーノの村の言葉で「悲しい」は「長く感じる」と言うそうです。)小説の方がしっくり来る時間の流れなのかも。
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