ドント

BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズのドントのレビュー・感想・評価

3.6
 2022年。やったネ! 嵐が迫る山奥の別荘、わだかまりを抱えた人々が集まり、それぞれの摩擦を見せてから外界との連絡が通じなくなったあたりで、「殺人犯当てゲームをしよう」と言いはじめたら、もはや何も起こらないはずがなく……本当に殺人が発生! しかしここに集ったのは上流階級や大人たちに非ず! 酒にドラッグに乱痴気騒ぎ上等のZ世代だった!
 嵐の山荘での殺人に、尻軽で酒にヤクもキメるしポッドキャストとかインスタとかやってて、表面上は仲良くツルツルやっているナウなヤングを突っ込んだらどうなるか? 慌てまくりからの相互不信と不満炸裂! もはや犯人探しや推理どころじゃない! そんなハチャメチャミステリ。いやミステリかな? まぁミステリということにしておきましょう。
 現代の若者たちのウェイウェイ感と、偏見抜きにボーダレスにやっている感じ(何せ女性同士のカップルが当たり前にいる)と、その腹の底で溜め込んでいる鬱屈がよく伝わってくる現代的なムービー。平たく言うと全員ばかなのだけどもこれ別にZ世代だからというワケでもない。若い頃というのはあなたも私も、例外なく全員何らかの形でばかである。
 ところが今はネットというものがある。ネットを介して虚飾をまぶしたりクッションにしたり隠したりしていたのに、孤立して生身で向き合うことでどんどん軋轢が生じていく。「相手の本性」がわからないわけだ。人が殺されたとなればなおさらである。加えてお互いに様々な感情を抱えている女子の集団。必然のように衝突、惨事。このあたりの皮肉というか意地の悪さが実にこの、旨味、旨味がある。出汁が効いている。
 なんかややこしいことを書いたけども、要するにポップで軽薄・軽快な演出と共に、目の前の大問題そっちのけで人が揉めまくるお話だ。いやぁいいなぁ、気持ちよく揉めているなぁ、若さだねぇ、としみじみしながら鑑賞した。なお殺人の真相はうやむやにはならず、きちんと判明することを付言しておく。私が言えることはただ、「みんな仲良く、正直に、親切に生きよう」だけである。
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