スワヒリ亭こゆう

ゴールデンカムイのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.3
原作大ファンです!実写化の話があった時にキャストに不満を持ち、スルーしようと思っていたんですけど、あまりに評判が良かったのと野田サトル先生の描き下ろし特典目当てに映画館へ観に行ってきました。

率直に言うと本作、面白かったです。
原作の世界観を壊さず、原作のストーリーに沿った内容だったので面白くなきゃダメですよね。
面白いのは前提で、そこに実写化する意義がないと駄目なんです。
本作の二人の主人公のひとり、アシリパ(リは小文字)を演じた山田杏奈さん、彼女を起用した事が良かったと思います。
原作では10代前半の役でしたが、全然違和感なかったです。山田杏奈さんが子供っぽいという訳ではなくて原作でも設定は子供なんですけど、アシリパ自体は大人びていてアイヌ文化の語り部の役割も担うキャラなので違和感なく、寧ろ好意的に見れました。

日露戦争を実写で描いたのも良かったです。この描写は漫画以上の映像になっていました。動きの中で見せる演出こそ実写化する意義を持ちます。それを充分可能にした山崎賢人さんのアクションも素晴らしかったです。

杉本佐一役の山崎賢人さん。
キャストが発表された時に僕はあまり好意的に思えなかったんです。正直言って、またか…って思いましたし、もう少し漢っぽい俳優さんにやって欲しかった。僕のイメージでは長瀬智也さんなんですけど。
実際に映画を観た感想は、山崎賢人さんでも【気にならなかった】です。
役が合っていた訳ではなくて、良い意味でも悪い意味でも映画の邪魔にならない俳優さんなんだと思います。
本作のひとつ前に観た『スケアクロウ』のライオン役はアル・パチーノしか考えられません。
山崎賢人さんは僕は『キングダム』の信がハマり役だと思うんです。
なので、あっちもこっちも出演するのは山崎賢人自身にとってもあまり良いとは思えないんです。
【不死身の杉本】として敵と闘う時とアシリパさんと話してる杉本は表情が違くなくてはなりません。
そのディテールを漫画では表現していたので、実写なら尚更、演じないといけませんね。
原作だと【間】を使った笑いが秀逸なんです。その笑いの表現は映画ではやりませんでした。
監督が決めれば良い事ですが僕は好きな表現だったので楽しみにしていたんですけど、やりませんでしたね。
味噌とオソマのやり取りもあんまり面白くなかったです。これは完全に監督の技量の問題でしょう。

文句もありましたが、北海道の大雪原を映画で観ると迫力があります。土方、牛山、鶴見中尉などのキャラクターは良かったです。
次回作も観に行こうと思います。