ホリ

ゴールデンカムイのホリのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.8
戦争シーンで死の描写を
残酷に切り取るからこそ、
生にしがみつく主人公たちの行動に
より深みが出ている。

グロテスクとまでは言わないが、
気付いたら、
爆破で身体の一部が損傷したり。
争いにおける暴力描写を
当たり前の出来事のように
淡々と…
結果のみ見せるため、
常に死が隣り合わせにある
緊張感が漂う。

国外で戦争を終えても、
国内で再び、
北海道に眠る金塊を求め、
日本人同士で争いが起きる展開も
皮肉さというか…

その舞台の主人公は
重症を負っても、
次の日には何事もなかったかのように
戦闘に加わることから、
“不死身の杉本”という
異名をつけられている。

“不死身”という異名から一見、
人間離れした人物像を想像するが、
話が進むにつれて、
他者を思いやる行動が引き出される。

主人公と利害が一致し、
行動を共にする女性がいるのだが、
『目的達成に力は貸すが、
人は殺すな』という、
真逆の価値観に触れる時間が
増えていく。

次第に
大量に人を殺した
自分と一緒にいたら、
良い未来は生まないだろうと
想像するようになり、
女性を突き放すようになったり。

お金を欲する理由も、
親友の難病を治すために
必要ということが
終盤に判明する。
自分のことよりも
仲間の幸せを最後に叶えるため、
戦争で生き残ったという
使命にも近い価値観が
見えてくるのが良い。
ホリ

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