ドント

ゴールデンカムイのドントのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.5
 2024年。面白かったですわよ。うん。面白いです。よくやっております。時は明治、日露戦争帰りの兵士・杉元が砂金を探しにやってきた北海道で、アイヌの娘アシリパと組んで狙うは隠された金塊。はぐれ日本軍と幕末の生き残りも加わりヒグマも暴れる大争奪戦。なんか歯切れが悪い理由はあとで書きます。
 原作既読ではありますがそれは頭から消去して、ちょっと全体に駆け足だったかなという印象が残る。「原作があって要素を拾ってまとめてるな」感がある。一方でそれゆえに余計なものがないし、笑いもバイオレンスもいい具合に混入しているのでダレる場面はほぼない。だからこそ最後の回想と告白を置くのは実にまどろっこしく、幕引きが何らかのブチ上げシーンだったらかなり満足感のいく仕上がりだったろうと思う。もったいない。
 アクションや戦闘に関しては100点と言ってよく、特に冒頭二百三高地の激戦など物凄い。あとしれっとやってるけど肉弾戦も充実している。グロもうまく隠しつつ逃げておらずなかなかよろしいし、ヒグマも怖い。動物のCGも安くない。ただ、このスタッフであったならもっといけたのではないか。この面子ならアクションで120点の瞬間がもっと見れたのではなかろうか、という気持ちも拭えない。
 全体的にまずまず、及第点の映画と言えるけれども、いちばん気になっているのは「……これ、続きはWOWOWでやるつもりじゃね?」という疑念がムクムクと沸いているからである。まず製作トップが東映とWOWOW。で、原作を丁寧にやっているもののこれ、映画っぽい拾い方ではないのだ。終わり方も「第一幕おわり」のシーン。ついでに尻には「さ~て、これからのゆかいな囚人たちは~?」とのチラ見せもある。
 これ、あとはドラマでやんじゃねぇの? 『沈黙の艦隊』でやった「さ! この続きは連続ドラマで!」のアレじゃねぇの? そういう気がしてならない。そういうのだったらちゃんと明記しておいてもらわねば困る。外れてたらWOWOWに謝ります。とは言え何ですか、よく言えば整った、悪く言えば無難な映画であった。キャストもまんべんなくよかったけれど、目立った役者もいなかった、とも言える。しかしまぁ、多少ぎこちなくても突出したモノがある映画の方が私は好きだ。ウオォッとハートが燃える瞬間がもう3回くらいあったらな……。
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