Azmin

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのAzminのレビュー・感想・評価

3.6
ヴィゴが良き良き!
最近の彼はなぜか亡き我が父に、顔の輪郭とか雰囲気が似てるんですよね~。
今作でもやっぱり父の面影がチラチラ。

加速進化症候群という自分で内臓を生み出してしまう体を持つ、パフォーマンスアーティストのソールを演じてます。
今は喉が狭くなっているらしく、ずっと咳払いや不快そうな声を出している。
食べるのも自分の力だけではスムーズにいかず、特殊器具を使いながら食べ物を口に運ぶところ、本当になんとも言えない不思議な光景。

この作品、全体に落ち着いた展開ながら、しっかり見ないと解釈が難しい。それでも特別ぶっ飛んだ発想とは思えない。
クローネンバーグの新作でありながら、1999年には構想を思い付いていたというところがその理由かな。
まぁ当時としては異常に卓越した発想ではあります。
さすが未来に生きるクローネンバーグ監督。

プラスチックばかりを食べる少年の話や、その父親が生産し普及させようとしているプラスチックなど合成化学物質で出来ている紫のキャンディーバーの存在。
このあたりもかなり興味深くて、そう遠くない未来には起こりうる深刻な問題なのかもしれない。

ラストではさらに進化し、体の痛みから開放されていくヴィゴ演じるソール。
その表情がとても印象的。
彼のパートナー役のレア・セドゥも安定した魅力で彼女ならではの妖艶さがあったが、それに引けを取らないクリステン・スチュワートのエキセントリックな存在感。
今回の思わぬ見どころになった。

流れる音楽も謎めいた中に知的な響きを漂わせ場を盛り上げる。
臓器にタトゥーを施し取り出すパフォーマンスシーンでは度肝を抜かれかなり引き込まれた。
見せ物というよりは、エロティックながら極めて芸術性の高いシーンで惚れ惚れする。

グロ描写に以前から期待していた私ですが、くどくなくむしろ自然なレベルで好感度アップ。
とはいえ、解剖シーンが苦手な方は結構リアルなのでご注意を。
Azmin

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