こうじ

CLOSE/クロースのこうじのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
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タイトルは「クロース」。相手との距離が近いこと、その素晴らしさと残酷さ、難しさを描いている。
レオのような思いは思春期に誰もが大なり小なり経験するのではないだろうか。思春期だからこその不器用さ、悪意のない残酷さ。
歳を経て、あの頃どうして自分はあんなに無自覚に無慈悲になれたのかと戸惑い、驚く。
そんな罪のない罪深さの物語だ。
単純にLGBTものだと分類すると解釈を誤ると思う。そういう意識の芽生えも混じっているのかもしれないが、距離感から生まれるもっと広い意識や感情なのだと思う。
息遣いひとつで、レオの不安定な心の揺れが痛切に伝わってくる。わずかな目の動きや口元の変化だけで、繊細かつ微妙な心理を表現してしまうレオ役の少年には魅せられっぱなしだった。
映像も音楽もレオ役の少年も美しく、カットも計算されていて、きめ細かく丁寧に作られた映画だ。
レオのお兄ちゃんの弟への距離感。そして、やさしさに救われる思いがした。
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