トールキン

CLOSE/クロースのトールキンのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.2
久々に見るズシンと心に刺さる作品でした。めちゃくちゃ重たい気持ちになるし見終わった後の没入感が凄かった。何をどう言語化してレビューを書けばいいかそれくらい咀嚼が難しい。
涙すら出ないような胸苦しいような喪失感のような感情を抱いてしまう。あらすじを読んでから見ているからこそ常にハラハラしながら見ていたし山場を迎えてから最後までとにかくずっと見ていて辛かった。

13歳、小学生から中学生にちょうど移り変わる年齢。環境が変わって人間関係や外界からの影響や刺激なども変わりさらに思春期ということもあり感受性も少しずつ変化が見受けられる時期。昨日まで当たり前だった関係性が翌日になって変わってしまうようなこと。それが与える心の影響とは。時間の経過と共に風化していくか、あるいはどれだけ時間が経っても心にずっとわだかまりが残るのか。おそらくだけど思春期の頃に似たような経験した人少なからずいそうな気がする。僕個人としてはそんな経験があっていまだに心の片隅に引っかかっているような感じがする。

客観的に見てレミの身に起きたことはレオのせいだ、って思ってしまった自分もいたけど冷静に考えるとそんな簡単に言って事が済むことじゃないし、後からどう言っても後の祭りなだけだしもはや何を言ってもどうすることも出来ない。だから個人的にレオよりレミの両親の方に感情移入してしまった。我が子の親友を責めたところで息子が帰ってこないということを冷静に理解しているお母さん、良く出来た人だなって思えた。そのシーンがめちゃくちゃグッときた。

そして、レオの視線、その見つめる先、目の動き、表情、感情などがこの作品そのものの雰囲気を醸し出しているような、そんな気さえした。13歳の少年はこの先どう成長し大人になっていくのか、まるでそう思わせるようなラストカットのレオの佇まいが美しくて見入ってしまった。
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