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CLOSE/クロースのhirobeyのネタバレレビュー・内容・結末

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

予告編を観て気になっていた作品。
何とか時間を作って観に行った甲斐があった。余韻の残るいい作品だった。繊細な心のうちを表現した監督の手腕に脱帽。

A24配給。
アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート。

"CLOSE"は親友を指す"Close friend"から来ていると何かに書かれていた。そこには"遮断する"という意味も含まれているような…。

中学入学の頃の思春期の入り口に差し掛かった12〜13歳の年頃。今までの子供時代からの付き合いから、新しい人間関係を築く中で、少しだけ疎遠になる親しかった人たち。きっと、男女問わず誰にでも、似たような経験があると思う。何処かに僅かな後悔を抱きながら、新しい友を得ていく。そういう経験を何度も繰り返し大人になっていく。進学、就職、結婚、転居など、そのタイミングは様々。子供の頃からずっと親しいままの付き合いが続く人もいるだろうが、それは稀で幸せなことかもしれない。

この年頃の子供関係は、女子の方が心身共に成長が早く、反対に男の子の方がとても子供に映ってしまう。悪気はないのだろうが、女子にからかわれて、意識して離れてしまうレオの行動はとても理解できる。

後半は、レオとレミの家族(特に母)の心の苦しみが画面から伝わり観ていて辛い。何度もレミの母に言おうとして言えないレオ。

ずっと泣かなかった彼は、腕を骨折して初めて号泣する。折れた骨は、いずれ強く癒合する。これは彼の心の動きを現しているかのようだ。

季節が移ろい入学から1年が経って、レオはやっとレミの母に自分の気持ちを伝える。ここでのレミの母の心情がとても分かりやすい。一度は、レオを拒絶しながら、それでも彼のこれまでの苦しみを理解し、息子と兄弟同然だった彼を抱きしめる。

彼の心の傷は、時間と共に薄れていつかグレイの染みになっていく…←これはユーミンの失恋ソング🎵"消息"でした😝
ただ、忘れることは無いのだと思う。

PS:
男の子2人の仲の良い関係は、奇しくも邦画「怪物」にも描かれていて、近しいものもあったが、各監督の表現したかったものは同じではない。
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