Shun

逆転のトライアングルのShunのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.8
カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作。
2作連続で受賞した時のリューベン・オストルンド監督の喜びっぷりが逆転弾を決めたサッカー選手みたいで凄い印象に残ってます。

あらすじを聞いて「面白そう!」って思ったのですが、監督の前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』が記憶にある限り、全くと言っていいほどピンと来なかったこともあり、ちょっと不安に思いながら観に行きました。

男女格差、身分格差、ルッキズムという、それぞれの国の文化による違いを受けにくい普遍的なテーマを扱っているからなのか、本作のブラックユーモアはすんなり受け入れられて、わかりやすいエピソードばかりで面白かったです👌

第一部のヤヤとカールのお金に関する口喧嘩が面白かったです。
さすがにあれだけねちっこいカールを見てるとどこかで折れろと思ってしまいますが、お金の話って国とか身分とか関係なくナイーブな話なんですね。

船上でのセレブと客室乗務員のやりとりも良かった🤭
高額チップのためならイエッサー、何でもやります精神の乗務員たちによるマネーコールは可笑しかった。

ロシアの大富豪マダムが乗務員を見下して(るつもりは無さそうだけど)、ウザいを通り越して呆れるようなお願いを船員総出でやってるところが良いです笑

そしてついに始まる無人島でのサバイバル。
それまでチラッとしか出番がなかった船のトイレ清掃員・アビゲイルによる大逆転劇に釘付け。

金持ちセレブを配下に置いて女王のごとく振る舞い、カールの身体も利用するアビゲイルにはもはや清掃員だった頃の人柄などなく、完全悪になってしまうところが面白い。
アビゲイル役のフィリピン女優のドリー・デ・レオンの高圧的な演技が上手かったです👏

ただ、嵐で激しく揺れる船内での食事シーンで繰り広げられる地獄絵図は目も当てられないほどにカオスでした。映画史上、ここまで長く嘔吐を描いたシーンはなかったんじゃないでしょうか… 。

それでも、誰もが共感しうるお金の話とヒエラルキーにおける下剋上エピソードを無人島という隔絶された場所を舞台にブラックユーモア満載で描いているのは単純にユニークで面白いと思いました🤣

ハイブランドのモデルとファストファッションのモデルの表情の違いには笑っちゃいました。

結末を委ねるラストも色々と想像しがいがあって良いです👍

ヤヤ役のチャールビ・ディーンさんが急逝したということに驚きました。ご冥福をお祈りします。
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