日本語版DVD（コスミック出版）。23-41。ロータ祭り。アルベルト・ラットゥアーダとフェデリコ・フェリーニはこの映画で意気投合する。なにしろ、それぞれのパートナーのカルラ・デル・ポッジョとジュリエッタ・マジーナが主演と助演。

マジーナのほうは大抜擢。『戦火のかなた』（1946）の端役で初めてスクリーンに登場し、本格的な役がついたのはこの作品が初めて。そんなマジーナの演じるマルチェッラには、その後のジェルソミーナやカビリアの萌芽がはっきりと見て取れる。

カルラ・デル・ポッジョのほうは1940年にヴィットリオ・デ＝シーカの『 Maddalena, zero in condotta （マッダレーナ、素行は零点）』でデビュー。みごとなお転婆娘ぶりを披露。これがすごくよい。この映画については、ここに感想を記しておいた。

https://hgkmsn.hatenablog.com/entry/2022/07/15/001247?_ga=2.226266266.1404637703.1681980787-123824182.1679638120

デル・ポッジョはそんなお転婆娘からどんどん成長してゆく。ザンパやカメリーニやジェルミなどの監督と仕事をして演技の幅を広げ、やがてラットゥアーダと出会い、『Il bandito』（1946）ではアメデオ・ナッザリとアンナ・マニャーニと共演し、この映画では主役を演じることになる。

このダブルカップルはその後、映画独立プロダクションを起こして『寄席の脚光』（1950）を撮るがこれが興行的に失敗し、決別となる。離れ離れになる...

この映画の背景となる時代は終戦直後の1945-47年。舞台はリヴォルノ近くのトンボロ。そこには、コルターノ収容所があり、その運営には「バッファロー」隊と呼ばれ黒人を中心とした編成された合衆国第９２歩兵師団があたっており、ロジスティックの関係から米軍の補給基地があり、横流しが横行し、マフィアが暗躍し、仕事を求めて「セニョリーネ」と呼ばれる娼婦たちが集まってきていた。そんな「黒い天国」と呼ばれる場所が物語の歴史的な背景だ。

だからロータの音楽は「黒人霊歌」を下敷きにしたものになっている。そこはさすがにアメリカに留学したことがあるわけだ。そしてロックンロールにブラジル音楽と、じつにモダーン。「自分の音楽いつだってモダーンなんだよ。だって家族が音楽一家で、聞いていたものがアヴァンギャルドだったからね」と語る早熟の天才ならではともいえる。けれど、何かが足りない。足りないものとは何か。

それはきっと、フェリーニのような、そしてヴィスコンティのような、音楽のことがわかり、こだわりがある、映画監督との出会いなのだろう。

• #ロータ祭り

これどっちかっていうとノワールじゃないか？本場より一段階暗い理由で堕ちていくが。
海岸と集団の取り合わせやらあの岩壁やら、確かにフェリーニの刻印。

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