さすらいの雑魚

仕掛人・藤枝梅安2のさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)
4.2
トヨエツ梅安の第二作。
凄く良い。
先の第一作は仕掛人藤枝梅安と言う時代劇映画シリーズ(に、しておくれよ。お願いだよ🙏)の象徴たるべく作られた、荘厳な闇の神話劇でした。
と、するなら本第二作こそが新生藤枝梅安シリーズの第一作と言うべき作であり、まさしくそのような、人の弱さが宿命と因縁を織り上げる、暗黒群像劇でした。
そして本作も前作同様にイケオジが醸す男の色気と、美熟女が放つ牝の芳香が、スクリーンから零れ落ちすぎて床がヌメりそうなほど。
まず仇役に椎名桔平と佐藤浩市。すでにして傑作しかあり得ないぞ。エロ可愛い菅野美穂に、熟すほどに深くエロい高橋ひとみ。そして本作の白眉は篠原ゆき子!ヤバい、怖い、そしてエロい❗そんなファム・ファタールを怪演です。そんな目立って華のある女優さんじゃないと思ってたけど、篠原ゆき子、老木に、、、って言ったら失礼かもわかりませんが、、、残花が咲くって感じぞ。今後、注目ね。
そんな演者さんたちの鍛え抜かれた演技が、人によっては嫌悪感を感じそうなほどに生々しい市井の表裏と人の業を、人を捨てた仕掛人の視線から炙り出す物語の構造を支え、本来醜いものを、美しく哀しいドラマに仕上げてた。
美しい地獄で交わされる情と純情は切なくも可憐に美しく撮り、屍山なす殺陣に吹く血潮は闇に紅く咲く花のように、これもまた美しく撮る。
正と邪を超越した演出部の美学が貫徹されていて、清々しい。
獲物を確実に仕留める死神の如き梅安が、狩られる恐怖のもとで、医者である自分を必要としてくれている人々や、どう転がっても人でしかない自分自身と向き合い、死神に逃げるのを止め、ヒトデナシとして生き直す。
藤枝梅安がまだ人であった時代の因縁と彼を直面させて、人間を超越した死神を、再び人間の哀歓に沈める本作が無ければ、一幅の名画のような前作でもって映画藤枝梅安は終わってしまったかもしれません。
その意味で連作となったのは必然か。

虹彩陰影が深く彩る京都江戸を濃厚に包む不穏は、鎖国のなかで繁栄を止めぬ大君の御代の腐臭のよう。
なぜいきなり時代の腐臭とか書き出したのかと言うと、、、
鬼平!復活なのかっ!!と、少しだけネタバレ的な。
こいつは春から縁起がよいねぇ💮