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月の満ち欠けのshunsukehのレビュー・感想・評価

月の満ち欠け(2022年製作の映画)
3.0
仏教が説く輪廻は、終らない苦しみを意味するが、この映画は生まれ変わりを肯定的な側面から捉えたファンタジーとして、大切な人を思う深い情愛を描いている。子供は親を選んで生まれてくるという説は、生まれたばかりの子を捨てたり、幼い子供を虐待する親がいることを考えると甚だ疑問だし、正木竜之介が小山内瑠璃が正木瑠璃生まれ変わりを確信するプロセスが簡単すぎるなど、いろいろ引っかかりはあるが、あくまでファンタジーである。「瑠璃も玻璃も照らせば光る」やアンナ・カレーニナやTシャツのロゴ「A Swedish Love Story」やジョン・レノンや、暗示的なワードが多く使われているが、高度な仕掛けは読み解けなかった。しかし、小山内堅と梢の情愛には心震えるものがある。緑坂ゆいに撮影されながら、堅が語るなれそめを聞く梢。微妙な演技で堅が奇跡の偶然というそれが偶然で無かったことを悟らせる。見事な演技と演出である。それが終盤の感動の伏線になっている。
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