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カリガリ博士のkuuのレビュー・感想・評価

カリガリ博士(1920年製作の映画)
3.7
『カリガリ博士』
原題The Cabinet of Dr. Caligari Das Kabinett des Dr. Caligari
1920年 革新的なドイツのサイレント映画。
お話は、とある街にやってきた医師山師ペテン師?カリガリ博士が夢遊病者チェザーレを操り殺人を行っていたとされる。
それを主人公のフランシスが回想するちゅうプロットです。
回想ともとれる主観的なリズムであることをいつしか視聴者に当たり前のように定着させた結末は。。。
正直、現在じゃ使い古され古典となった表現やけど、100年も前に作られた映画やと思えば😱
Wの衝撃をうけました。
精神疾患患者によるどんでん返し映画モンの黎明と云えるんかな?せやし、
苦手かなとは思ったが、気合いと根性で観進めたら意外にハマりました。
映画作品だけじゃなく、エンタメは時代背景とその当時の潮流を色濃く映し出してると云われてる。
『カリガリ博士』は第一次世界大戦後の暗い時代のドイツに於いて作られた。
当時、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創始され、多くの追随者を生んだ現代美術の大きな動向であもある、色んな角度から見た物の形を一つの画面に収めたキュビスムはヨーロッパ全体にムーブメントは浸透しはじめてたし、心理学はドイツ語圏で今作品放映された時には急速に発達してきてる、
そないな土壌が整っていたなかの今作品が作られそれらの最先端なムーブメントをいち早く取り入れてる作品でもあるんやろな。
偶発的な事が発端となりつつも全ては必然かのように、せやからこそ今作品は受け入れられるんかもしれへん。
『カリガリ博士』が今でも映画評論家だけじゃなく、市井の映画フリークや、はたまたあらゆる学者にも語り尽くされてんのも、その時代を反映して、ほんでその時代一般化しつつあった精神世界ちゅう普遍的で且つ奥深いモンを描いたるが故なんやろな。
『カリガリ博士』が作られたんは、奇しくもベルサイユ条約によりドイツは多額の賠償を支払い、また領土も分割統治されることとなった同年かな。
こないな辛酸ナメコのドイツでこの映画は作られて、ほんでその後政権を握るナチスドイツは映画をプロパガンダとしてまぁ上手く利用したのは、また別の話とは云え、時代背景は多少なりともこの奇妙な映画に影響してんのとちゃうかなぁと思ったかな。
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