ウシュアイア

ザ・ホエールのウシュアイアのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.0
恋人の死を機に自暴自棄になって自重で身動きがほとんど取れないほどの過食症に陥った男・チャーリーがかつて自身で棄てた娘との絆を取り戻そうとする話。

スルーする予定だったが、タイムラインにも上がってきている話題の作品ということで鑑賞。

話の構図はつい先日観た"The Son"に近いものがあるが、家族を捨てたのはチャーリー自身にも関わらず、過食という自傷行為に走っており、罪の意識から救いを求めている。

過食症の実態を映像にしたという点では興味深いものはあるが、それだけなら本物を撮ったドキュメンタリーで十分。チャーリーのいでたちのインパクトが強すぎて肝心の物語が全く入って来なかった。ただ、個々の人物の関係性に目を向けると多少は見えてくる。

以上、観ていない人向け。



チャーリーは異形の存在ではあるものの、周囲の登場人物の言動は極めて自然のように思えてくる。ある意味人間の本質を描いているのかも知れない。

要素を分解してみると、チャーリーとリズ、チャーリーとトーマスの関係性は共依存的で、チャーリーのような人を見た人はピザの配達員や画面越しの学生のような反応になるのに対し、リズやトーマスは心に闇を抱えており、助けになろうとすることで自己肯定感を得ているようにも見える。
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