スワヒリ亭こゆう

ザ・ホエールのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.0
ブレンダン・フレイザーがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品です。
ダーレン・アロノフスキー監督の作品、そして本作もA24が製作してるのも興味深いです。

タイトルやポスター、予告などから想像出来ますが、ブレンダン・フレイザーが演じたのは超肥満体の男です。心不全を患い余命僅かになり娘との関係を修復しようとする数日の話です。

ブレンダン・フレイザーの演じたチャーリーについてですが、まずは何と言っても特殊メイクが素晴らしい出来です。演技も勿論ですが特殊メイクでクジラの様な男を作り上げたスタッフの優秀さを讃えたいですね。
ブレンダン・フレイザー最近、観ないうちにこんな太っちゃったの?って少しでも思わせれば勝ちなんですが、見事に成功したと思います。
ここまで見事な特殊メイクをされると役者としても憑依出来るのかなと思いました。
演技も勿論、見事。息遣いから、巨漢の動かし方まで役に入り込んでるから、観ててこっちが疲れますからね😅

で、何故?チャーリーはこの身体になるまでコントロールが出来なくなったのか?
それが映画の中で語られていくんですけど、僕はあまり同情は出来なくて、むしろ愛情に満ちた人の様な気がしました。
コントロール出来なくなるほど人を愛した結果ですからね。
否定してはいけない気がします。
更に娘に対しても、やっぱり愛がある。
むしろ愛情以外はこのチャーリーには何も無いんじゃないかなってくらいですよね。
なので映画を観ていて、どういう目線で観ると本作を楽しめるのかなぁと戸惑います。
チャーリーよりも友人で看護士のリズの方がよっぽど同情しちゃいます。

全てを肯定して受け入れた結果、生命に関わる程にコントロール出来なくなるほど太ってしまった訳ですよね。
監督としては全部を肯定する男を描いたらどうなるか?太っちゃった。っていう話を描きたかったのかなぁ。

物凄く内容がある気もするんです、『白鯨』とも掛けてるんでしょう。信仰心なども話を絡ませてる。
だけど、やっぱり中身が薄い!と思ってしまった。
もっと観客を楽しませたり悲しませたりする映画じゃないと僕は満足出来ませんね。