黄色いブドウ

PLAN 75の黄色いブドウのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

主張する内容が簡潔だと邦画演技でも許容できる映画になるんだなと感心。老人ホームで働く人が外国人なのが世知辛くて良き。安楽死に家族や医者の許可がなしで可能なのが驚き。借金などの審査は大丈夫なのだろうか。75歳までに認知症や脳梗塞などで意思表明できない人はどうなるのだろうか。プランの説明を聞く老人が皆、人から直接聞いたり電話で聞こうとしているのが腹が立つ。ホリエモンじゃないけど「メールやネットを見ろ、若者の時間を奪うな」と思う。どことなくナチスの強制収容所の職員を連想したり、老人自身も姨捨山を連想してしまう。家族や職員へのメンタルケアもしないといけない。現実ではもっと職員への嫌がらせが起こるだろう。関係ない人が殺人鬼呼ばわりして医者や職員のやる気を削ぎ、対面で会う機会に刃傷沙汰が起きるだろう。もっとドロドロした世界を描いて欲しかったな。老人たちが日本の窮状を理解して受け入れるとは思えない。死ぬ直前に一発犯罪を犯す人もでるかもしれない。もっと考えられたと思う。

(前提知識)
安楽死には分類がある。延命をしない方法、死期を少し早めるが痛みを取るなど生活の質を向上させる方法、毒物などを使って積極的に殺す方法。一番最後の方法&この映画で語られる安楽死は現在日本では犯罪行為。漫画ブラックジャックのドクターキリコや、実際でも数名の医者が実行し逮捕されている。

積極定安楽死が認められている国は増えてきているが、日本では”最終的に寝たきりになる病気に罹患している某団体”が、政治的圧力により拒んでいる。許可された場合、世間から「医療費を使う前に早く死ね」のような圧力がかかる事を恐れている。一方、世界ではいつでも死ねる許可が国から出た事により生きる事が楽になったと語る難病患者もいる。

私個人、Twitterの安楽死の議論を見ていると前提知識なしで語る人や優生思想っぽい人がいるので、国民として安楽死を建設的に議論できる倫理的土俵がないと思っている。(西洋と違って?)

日本では他人に迷惑をかけずに自殺する場所がない。不動産価格が下がったり、賠償金が遺族にかかる場合が多い。自殺が失敗し病院に運ばれ治療をうけると、医療保険は適応されないので10割負担になる。なお医師はリスボン宣言なるものにより自殺による意識不明患者を救命する義務がある。法的実行力のある意思表明の書類なしで病院にきた場合は確実に治療される。

2025年問題や2035年問題があり医療従事者や、火葬場、輸血用血液などいろいろなものが高齢化により不足する。2040年以降は人口が急激に減る予測が出ている。働き手不足が深刻になる。

(関連する話題)
ナチスドイツのT4作戦:精神病患者や障害者を集め殺害する事で医療費を削減した政策。