いろどり

牛久のいろどりのレビュー・感想・評価

牛久(2021年製作の映画)
5.0
たくさんの人に観てもらいたいための評価です。
私は日本が難民受入国でありながらほとんどの難民に難民認定を下さずに強制送還を促していることに思うところがあり、政府に難民認定の緩和を求める署名をしたことがあります。以下、ちょっと熱量の高いレビューになります。すみません。

日本は国連の難民条約に加入していて、難民を保護する義務を負っています。しかしそれは国際社会においての体面を保つためだけの加入といえます。なぜならば、難民申請は通らず祖国に強制送還が定期ルートだからです。日本の難民認定は国際社会においても類を見ない厳しさで、認定率は約0.5%。日本国民も難民を受け入れたくない、が総意なのは明らかです。

ならば難民受入を拒否するべきです。難民として日本に来る人たちは、クルド人やアフガニスタン、シリアやミャンマーなど、迫害を受けて、命からがら出国している人がほとんどです。必要な情報など持たぬ人ばかりです。日本の入管では、難民に対して人権を無視した暴力が横行しています。難民受入国だからと日本に希望を持ってやってきた人たちを支援しないどころか自由を奪う日本の仕打ちに、日本人として申し訳ない気持ちでいっぱいです。盗撮をしてまで社会に問題提起した今作の存在意義は大きく、埋もれさせてはいけないと感じます。

難民申請者のなかには、就労目的の人たちも一定数いて、彼らの排除目的で認定はより厳しさを増しているようです。厳しすぎる難民認定で在留資格を失くし、更新を認めず、支援を受けるべき人までも「不法滞在者」のレッテルを貼ることで彼らを追い詰めて何になるのでしょう。ウクライナだけ「難民」ではなく「避難民」として特別にえこひいきしたことは記憶に新しいです。そんな中立性を欠いた自己中心的なことばかりしていたら、国際社会において日本は相手にされなくなる未来が待っているように思えてなりません。

私は以前は選挙のボランティアをしたり、日中韓台の市民運動の交流会で中国に行ったりなど、社会を良くしたいという思いで色々活動をしていました。でも、あるときからそういった活動も巨大な権力の前ではあまりに私たちは無力で、何にもならないんじゃないかと思うようになり、今は何もしなくなりました。でもやっぱりそれは違いますね。情報を得ること、それを発信すること、集まりに参加すること、余裕があれば寄付すること、そして選挙に行くこと。小さなことの積み重ねで世の中は変えられてきたことを、多くの映画からも学びました。心からこの国が好きだと、日本の政治も好きだと言えるようにするには声を上げるしかないんですよね。こんなに日本を恥ずかしく思ったこと、心を動かされたことはありません。日本人として、自分に出来ることを見つけることから始めたいです。
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