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MEG ザ・モンスターズ2のドントのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)
3.5
 2023年。夏だ! サメだ! ステイサムだ! 海を守り調査する仕事を続けるステイサム一行は、前作で助けて家族同然に付き合っている少女やクルーと共に今日も海溝の調査へ。そこで何やら不審な奴らを発見……と思ったら爆発! 海層に穴が! 未知の海底からふしぎな奴らが襲ってくる!!
 前作と『ゴジラKOM』と深海クリーチャーホラー『アンダーウォーター』を観た後の午前2時から書きはじめて、「うむっここでバトル!」とか「便利バッグを出すぞ!」とか「ここでステイサムだっ!」みたいな深夜のテンションのまま朝5時に書き上げたような脚本は突っ走りすぎてギリギリついてけないような出来である。
 が、要するに「ステイサムたちとサメとかが戦う」話なので、あってもはやお話の出来不出来など問題ではないのかもしれない。前述の『アンダーウォーター』そのままの恐怖海底散歩や陰謀やサメに対して後手に回る描写で撓みに撓めておいてからのステイサムによる「よしっ、俺が行く!」以降の痛快っぷりたるや、もはや小理屈など通用しない勢いがある。勢いしかない。しかし勢いはある。
 そうしてついに開戦した「ステイサムvsサメ3頭」、からの、大波に乗ったステイサムが聖槍でもって巨鮫を屠るあのシークエンス。まるで神話の一番のような神々しさと無理が押し通るあの瞬間に私の常識は崩壊し涙が出た。“捨勇(すていさむ)、聖槍を持ちて海に出でて小舟で走れり。巨鮫の起こせし波に乗りて捨勇、槍にてこのうちの一頭を倒す……”。刹那、そのような一説が頭をよぎるほどに素晴らしい瞬間だった。ちなみにステイサム、聖槍だけでなく大剣も使う。本当です。本当なんです。信じてください。
 前半の鈍重さはどこへやら、ゆかいな島に入ってからは「わーっトカゲだ!」「わーっタコだ!」「わーっ傭兵だ!」などのドタバタしたクロスカッティングがとにかく楽しく、まるで遊園地を思わせる。欲を言えば中国最強男児ウー・ジンがいるのだから彼にもうちょっとアクションしてほしかった。いやコモドウミドラゴンをしばいたりヘリから飛んだりしたけどね……。
 とまれ、前半はちょいとモッタリとしたスリラーで「これはどうなることやら」と危惧したものの、上記の振り切りっぷりが後半で炸裂したのですべてがよしとされた。残暑厳しい8月末にこのスカッとした、しすぎてるくらいの映画が公開されたのは大変よろしいタイミングだったと言えよう。なお、犬は無事です。
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