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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのKHのレビュー・感想・評価

3.5
1968年のアメリカの話。
中絶をテーマにした映画ではあるが、その正当性や是非を観客に問う映画というよりは、ただ目の前にいる女性たちを救う物語。
性行為により望まない形で子を孕むのは女性だけで、実際の問題として生じる痛みや費用など不条理への怒りを感じた。中絶手術の緊張と痛みをノーカット撮り続けた映像は全員が向き合うべきだと思う。
当時のアメリカでは、レイプで授かった子や母体に深刻な負荷がかかるような場合でも堕ろせないという所に驚いた。
物語としての不完全さは残るものの、中絶そのものの賛否や宗教等の絡む机上論に陥らず、あくまでも実際に目の前にいる女性たちを助けるコール・ジェーンにフォーカスをあてる事は、近年のアメリカの中絶反対の潮流に対し説得力のある映画だと思う。
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