Omizu

私が熟れた季節のOmizuのレビュー・感想・評価

私が熟れた季節(2020年製作の映画)
4.0
「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」ことクラリッセ・リスペクトル原作の官能ドラマ。スクリプト・ドクター三宅隆太氏オススメの一作。

すごくよかった…
余韻が残る作品。文学的な表現で紡がれる語り口、撮影も美しい。

夜な夜な男あさりをする女教師が、哲学者の男と出会うことで自分の人生を見直していく。

いくつかの章に分かれていたり、冒頭に引用があったりとかなり文学的要素を含む作品。女性教師の心の動きを繊細に捉えていく。

彼女は本当には何を望んでいるのか、哲学者や子どもたちとの交流を通して描いていく。

主演シモーネ・スポラドーレの目の演技が素晴らしい。満たされない心の穴を見事に表現していた。中年に差し掛かろうとしている女性の虚しさ、孤独がダイレクトに伝わってくる。

演出も静謐で洗練されている。彼女が住む家からみた海を叙情的に映した撮影もすごくよかった。かなり好きなタイプの作品。
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