三宅隆太氏推薦作ということで鑑賞。彼の言い方でいうならば典型的なソフトストーリー。
不思議な映画だった。ドラマとしての性質が弱いというか薄い。そのぶん、主人公の感情の状態やテーマそのものを言葉やモチーフで補完しようとしている。ただ、メインのドラマよりも補完部分の方が情報として多い。
全体が理屈っぽく、ぎこちなさが強い。台詞も硬く自然さがない。
終盤にターニングポイントと解決に向かう展開があるんだけど、それもなんとなくムードで持っていっているよう見える。
"問題"と"解決"の間に飛躍がある印象。
言葉で論理的な説明はできるし、考えられているとは思う。水道、扉、電球、金魚等で示される物事の終わり。あるいは成長や変化をあらわすモチーフとしての豚肉、化粧、泳げない件、生徒との交流。
ただ、肝心のドラマが描けていないならば、結局のところ主人公はサイコにしか見えない。
「わたしは最悪。」と通ずる、主人公の人物造形は共感できるものだった。いい歳して他人とも世界とも自分とも向き合えない。何がやりたいのかもはっきりしない。周りと同調したいんだけど、心が外向的になれない。誰かとといたって解消されない孤独。
ただ、タバコを吹かしてたり、虚空を見つめてたり孤独感表現みたいなのはあるんだけど、それも記号っぽいんだよな。。