まっつぁんこ

N号棟のまっつぁんこのレビュー・感想・評価

N号棟(2021年製作の映画)
3.0
上映前の前口上でプロデューサーの菅谷英一さんがサブテーマは「生と死」と述べていた。
タナトフォビアにむけた作品。
主人公の史織はリア充なるも生の実感が得られず死ぬのが怖いと大学の先生に言う。
それをきいた先生は、死の恐怖から逃れる方法を教える。
「僕の授業で単位を取ることです」(笑)
そんな前振りのあと、史織は元カレ啓太とその彼女真帆と3人で岐阜の廃団地を訪れる。

このロケーションが秀逸だ。
団地のむこうに高層ビルがみえ、廃墟とのコントラストがホラーである(笑)
こんなの見つけただけで創作意欲をかきたてられたであろう。

廃団地なのに、立入禁止を無視して侵入。
すると胡散臭い管理人に見つかってしまう。
追い返されそうになるが、入居希望で見学に来たと嘘八百を繰り出す史織。
すると管理人はそうかそうかと3人を汚い部屋に案内する。
廃団地のはずなのにワラワラと現れる住人。
これは果たして現実か?

現実なのか夢なのか?
住人は居るのか居ないのか?
起きたできごとの説明はなく謎の結末をむかえる。
よく考えるとこれは普通のホラーよりは怖い。
考察型体験ホラーとのふれこみにぴったり。
ただし日本の観客には受けにくいような気がした。