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君は放課後インソムニアのcalinkolincaのレビュー・感想・評価

君は放課後インソムニア(2023年製作の映画)
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眠れないふたりの青春放課後ムービー。

長い夜、ケータイの明かり、孤独、何度目かの寝返り、ラジオ、勝手に来てしまう夜明け、その先に、君がいた。
不眠症の中見と曲が校内の展望台で出会い、長い夜をやり過ごすために天文部を作り、いくつもの夜をともに乗り越えてくお話。

青春映画らしく、とにかくすべてがキラキラして眩しい。
中見にも曲にも不眠症に繋がる悩みがあって、ふたりでいることで中見も曲もそれを束の間、忘れられた。
特に、友だちの前では明るく振る舞う曲の体には「死」の影をまとうある重大な秘密があり、その秘密のせいで友だちに気を使わせてしまうことを恐れる曲には、秘密を知りながら知る前と同じように接してくれる中見の存在がとても嬉しかったのだと思う。
そしてある体験から自分の存在を「罪」のように感じていた中見も、父には見せられない本当の自分を見せられる曲の存在にやすらぎを見出していたのだと思う。

作中の大事なアイテムとして「カメラ」が出てくるのだけど、中見が撮った曲の写真が本当に素晴らしい。
中見を演じた奥平大兼さんも素晴らしかったのだけど、高校生役の曲役の森七菜さんには今の森七菜さんにしか出せない輝きがあって、この映画のなかの森七菜さんこそが「青春」そのものだった。

主題歌であるTOMOOさんがくれる「夜明けの君へ」の甘酸っぱさも含めて、おばちゃんになってもやはりこういった「恋・青春・仲間」が詰まった青春映画からしか得られない栄養がある。
その中でもかなり秀逸な、キラキラした甘酸っぱい青春映画でした。
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