菩薩

ニューヨーカーの青い鳥の菩薩のレビュー・感想・評価

ニューヨーカーの青い鳥(1986年製作の映画)
4.2
当時ニューヨークではセラピーにかかる事がちょっとしたステータスになっていたらしく、そんな状況(ファッション化する精神医学)に対するアルトマン流の性格の悪過ぎる皮肉と言ったところだろうが、どうやら戯曲の映画化らしい。隅から隅までキチガイしか出て来なくて、どうせみんなキチガイなんだからセラピーなんて無意味じゃない?って言うほぼ筒井康隆の世界観。筒井の場合だとこの先「正常」と判断された者が「異常」と転化され迫害された後に稀少だからと保護されたりする。まあ実際この主張は合ってると思うし、自分が何かしらの「異常」を抱えてると思う人は自ら進んで「正常」に戻りたいと病院通いをしたりするものだが、逆に自分は「正常」であると思い込んでる人は自分の「異常」にも気付けずにそのまま放置される。まぁ何が「正常」で何が「異常」であるかを判断する基準はなんなんだって話になってしまうが、結局どっかしらキチガイですよ人間なんて。セラピーなんか無意味だからよく寝てよく食べてよくSEXしなさい、最終的にはそんな主張に落ち着くのだろうが…それが出来れば苦労はない…。ちと強めのホモフォビア描写が連発されるが、それも他人がどうこうより自分らしく生きることが大切だ…的なメッセージで回収される。幸福は自分のすぐ近くに転がっている、って事でお後がよろしいかと。
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