まず、勝つか負けるかが
主体のボクシング作品ではない。
生まれつき難聴というハンディキャップを
持つケイコの日常を視覚化して
見せてくれる、言葉や音少なく伝えてくれる
そういうストーリーでした。
だからと言って社会の障がい者に対して
優しいバリアフリーを!なんていう
ナンセンスなスローガンもないし、
ケイコの環境下にまつわる群像で
何かを物語る訳ではない。
この淡々とした描写から
観客はいろんなもの・ことを
受け取る訳ですが、個人的には
何処つかずだったなという思いも拭いきれない。
好きなシーンのここ、
もうちょっと掘り下げて欲しかった。とか。
もっと劇的な感情も欲しかった。
‥とカタルシスを求めすぎていた。
主人公ケイコを演じる岸井ゆきのさん、
「愛がなんだ」出演時とは
同一人物とは思えない役作りは
素晴らしかった。憑依型‥。
例えるなら、東南アジアのハングリーな
ボクサーに見えるような瞬間も
多々あったりで、演技力の拡がりに
今後も期待しています。