コーディー

TAR/ターのコーディーのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.9
傲慢さえ高尚な芸術への貢ぎ物。とばかりに楽団を、聴衆を、そして自身をコントロールするリディアの指揮に序盤から支配される。けれど偉大さへの自惚れや固執が強過ぎると調和が乱れた時に己の欠点として容赦なく襲いかかる…
そんな威厳と軽蔑に揺らぐケイトの演技に圧倒された。好き!

高圧的だろうとオーケストラを完璧に統率する権力と実績。独創性で捻じ伏せ、理解しない者は切り捨て嘲笑うw序盤のインタビューや学生とのやり取りで堂々たる美学をたっぷり披露しながらも徐々に綻びが生じる。
振り切る事なく二面性を抱えたまま、けど確実に制御できなくなる様子がスリリングでした。

まあ威勢いい割に跳ね返りに繊細過ぎるな〜とか、結末も個人的には今更感あったけどw神々しさを纏いながらも全てをコントロールできる神にはなれず堕ちていく。
芸術家としての高みに到達しても俗世に囚われるリディア。狭間を漂うケイト◦ブランシェットの哀愁に158分の長さも意外と退屈しなかった。