店長

生きる LIVINGの店長のレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
植物のように生きてきた課長が、余命をきっかけに変わる。

自分はこの映画は好きだった。作中で部下の女の子に「ゾンビ」という渾名はまさにピンポイントの渾名だった。生きていて、死んでいる。
自分の人生を振り返った時に生きているのか、死んでいるのか、分からなかったと思う。

息子とのコミュニケーションは上手く行っておらず、息子が問いただすと言った時点で何も会話は発生していない、そして会話はできずに終わる。

そういった孤独感、社会的な孤独を支えた作中の人物たち、そして死を目前として人々の中に確実に文化的な遺伝子を残した点、映画として面白かった。
こういう表現を使うと大げさかもしれないが、小さな事なのであるが、それが人々のこころに大きく遺った。

最後の公園課のブランコは素晴らしい。激しく激情として遊ぶ子どもの傍ら、静かに微動して揺れるブランコは、激しくもなく静かだが着実に人生を遂げた課長そのものだった。
こういう演出が大好きだ。
店長

店長