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生きる LIVINGのkitoのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.2
予想以上に素晴らしかった。年始にオリジナルを久しぶりに観たところだった。

初めてトレーラーを観た際は、あの傑作オリジナルをリメイクしようなんて、やらかしてるなあと思っていたが、どっこい評判通りの良作リメイクだった。ノーベル賞作家カズオ・イシグロがリメイクを発案、脚本を担当したそうで、きっとオリジナルに相当思い入れがあるのだろう。

ストーリーはちゃんとオリジナル通りな感じがする。ただ、その割には40分も短くなっていて、これはこれでテンポ良く話が進み、いかにも現代向けと言えるのだろう。

オープニングからレトロ風な映像処理と懐かしい4:3の画角に、あれ、再生するタイトルを間違えた⁈と驚いた。しかし、ものの数分ですぐ見慣れて、そのノスタルジックな雰囲気が心地良くなった。いっそ、「ゴジラ-1.0」のようにモノクロ映像版があっても良いのかも。

主役のビル・ナイが酒場で披露するスコットランド民謡の「ナナカマドの木」の歌唱が上手くてビックリ。「生きる」といえば反射的に志村喬の「ゴンドラの唄」を口ずさんでしまうくらいなので、ここはさすがに違和感を覚える。ただ、志村喬のあの雰囲気を再現するのはそもそも不可能だろうし、本作は真逆に上手にして良かったんだと思う。
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