砂場

生きる LIVINGの砂場のレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.5
黒澤明オリジナル版とどうしても比べてしまう。
黒澤版は実に長い。黒澤 明、 橋本 忍、 小国英雄3人が別々に脚本書いて議論して一つに仕上げたらしいんでアイディアをみんな盛り込むと長くなってしまうのかも
ラストの通夜の席のアイディアは小国案だったっけな?
妙に長い映画なんだけどもあれはあれで良いと思う

『Living』はコンパクトにまとまっていていいね、けど普通な映画の印象。
ビル・ナイも渋い、、ただちょっと威厳がありすぎるか、、、
ストーリーはかなり黒澤版に忠実で、特に渡辺勘治(志村喬)がとよ(小田切みき)をあちこち引っ張り回す場面は本作でも十分に描かれる。女優さんも似た雰囲気だった

志村喬のあだ名がミイラというので爆笑した記憶があるが本作ではゾンビだった!
ミイラが完全に死体なのに対し、ゾンビは死んでいるけど生きているという違いが面白い

『Living』はなんか薄味だなあと思って見ていたがどの辺が薄く感じたのか??『生きる』の方は敗戦から数年ということもあって社会全体が貧しい中から這い上がるようなエネルギーを感じたのだけど、『Living』はロンドンの街もビル・ナイの紳士ぶりも雰囲気がリッチなんすよね
志村喬のしょぼくれたおっさんが最後の証言によって実はすごい人だったんだ、と印象がひっくり返るところがいいんだけどビル・ナイは最初から威厳があるので印象がひっくり返る感じはない。傘さして雨の中を行くぞという場面とか普通にかっこいいしw

だいたい志村喬のドブネズミスーツが作品世界に合っていただんだけど、ビル・ナイのサヴィル・ロウで仕立てたような高級スーツで、フォートナム&メイソンでディナーとかいや〜戦勝国は違うよな、、、と

ストーリーは同じなんだけども、街並みとかキャラクターが違うと印象がずいぶん変わりますね
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