みかぽん

生きる LIVINGのみかぽんのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.9
先月末に亡くなっていた坂本龍一さんが、その命が尽きる寸前まて明治神宮の再開発に伴う森林伐採見直しを訴えておられましたが、その姿が本作に重なりました🥲。
勿論、坂本さんは以前から戦争反対、原発反対、震災復興支援などを唱える行動する音楽家で、表向きはスポンサーへの配慮、実の所は、使いにくい奴と思われて仕事に支障を出すリスクは負いません、の賢明な?😮‍💨スタンスを取る芸能人、マスコミとは一線を画していましたし、見て見ぬふりは下品な事、と言い切る真っ直ぐな方でもありました。

瀕死の中での訴えを受けた小池都知事は、劇中のお役所仕事そのままに、(嘆願書は)事業主に出されれば良かったのに、と曰いましたが、さて、我々は本作品のどの辺りのポジションなのでしょう。。
私は、お葬式後に「彼の意思を継ぐ!」と熱く語ったくせに、いつしか再び長いものに巻かれるタイプ、、を自覚して恥じながらも、少しでも坂本さん側でありたいと気持ちを正しました😔。

本作は戦後間もないロンドン、子供たちの遊び場はドイツから激しい空爆を受けた貧しい地区(周辺建物の雰囲気から、おそらくイーストエンド辺りと思いますが、間違っていたらごめんなさい)。
年老いた死にゆく主人公と、若く生命力に溢れる若い女性の対比がこの物語のコントラストとして映えました。また物静かで上品な佇まいを持つ主人公や関わる人々は、同じ時代の日本映画である小津作品を彷彿させましたが、この時代の方々は皆こうした佇まいを纏っていたのかな。

残照の輝きを放って一石とし、周囲の人々に湖面の波紋のような振動を与え、沈んで行った主人公の決意が、静かで、強く、美しい物語でした。
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