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生れてはみたけれどのkazu1961のレビュー・感想・評価

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
4.4
▪️JPTitle :「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」
ORTitle: ※※※
▪️First Release Year : 1932
▪️JP Release Date : 1932/06/03
▪️Production Country : 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record : 2022-126 再鑑賞
🕰Running Time : 90分
▪️Director : 小津安二郎
▪️Writer : 伏見晁
▪️MusicD : ※※※
▪️Cast : 斎藤達雄、吉川満子、菅原秀雄、突貫小僧
▪️Review
小津安二郎監督サイレント期の金字塔作品です!!
子供達の無邪気さ、大人達のサラリーマンの序列の悲哀、そんな80年経った今もほとんど変わらないそれぞれの心情風景を見事に描いています。
“生れてはみたものの”。。。大人の序列社会を強烈に皮肉った作品でもあります。
また一方で昭和7年ならではの生活、原風景も見事にコミカルに描いています。
“雀の玉子はポパイのほうれん草より凄いんだぞ!!”
“ライオンの歯磨きはどこから取れるんだろう?”という台詞からも見てとれます。また郊外に単線一車両で走ってる電車(池上線で電車が通る時を見計らってカメラを回しました)、枕の中に入ってる小豆などは当時を表す貴重な映像ですよね。
そしてこの時から、ローアングルの構図や、善へカットのみで繋いでいく小津スタイルは確立されました。
本作、当時の喜劇作家の第一人者である伏見晁が脚本を担当、原作のゼェームス・槙は、小津と脚本家たちの共同ペンネームとして使われました。
伏見の機知と、小津の鋭く温かな視線が巧みに合わさって“サイレント映画の金字塔”と言われるようになりました。これによって小津監督の評価が決定づけられましたんですね。
笑いと風刺を込めた父子ドラマで、前半は子供たちが互いに威張りあう姿をユーモラスに描き、次第に父親を批判し大人の世界を皮肉るシリアスなタッチへと変化させてゆく脚本も秀逸です。

物語は。。。
東京郊外の新興住宅地にサラリーマンの吉井一家が引っ越してきました。小学生の良一、啓二の兄弟は、近所の子供たちと喧嘩を繰り返しています。ある日、専務の岩崎家での16ミリ上映会で、卑屈な父親の姿を見た良一は、父親を弱虫だと責めるのですが。。。

サイレント期にこんなに秀逸な家族ドラマ、ほんと小津安二郎監督は凄いですよね!!

▪️Overview (Wikipediaより)
小津監督のサイレント期を代表する傑作で、サラリーマン社会の悲哀を子供の視点から描いた喜劇映画である。小津作品の特徴であるフェードイン・アウトを使わずに固定したカットでつなぐ場面展開はこの作品によって決定付けられた。第9回キネマ旬報ベスト・テン第1位。
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