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RRRのaiaiのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
3.0
♪踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆 なら踊らにゃそんそん♪的、ホットな具だくさんのカレーライス映画

‐いやカレーじゃなくて微妙なミュージカル映画なのであ~る

20年ぐらい前?「ムトゥ踊るマハラジャ」というインド映画が日本でもスマッシュヒットしたことがある。

久々にググったら、主役のラジニカーントが踊りすぎたせいか、お茶の水博士みたいに変貌していて驚いた(笑)

そういえば、インド映画は「歌」、「ダンス」、あと「恋愛?」だったろうか、この3要素が入ってないと映画とは認められず上映させてくれないとか、まことしやかなインド映画都市伝説なるものが当時漏れ伝わっていた。

嘘かホントか知らないが、そう言われると確かにこれまで自分が目にしたインド映画にはこの3要素が入っている。

本作「RRR」もしかりだ。

でも考えてみたら、歌、ダンス、恋愛が入った映画って・・・
「それってミュージカル映画のことですよね?」
と言われそう。

本作の場合、歌といってもその場の状況を補足説明するような歌詞が多く、いうなれば脚本のト書き色が強い歌詞で、ミュージカル映画といえるほどには昇華されていない印象。

ダンスもどちらかと言うと「一世風靡セピア」のそれで(例えが古すぎて恐縮です)セピアの舞を高速回転させ、今風なTIK TOKで味付けしたような動画風味。

全体的に荒ぶるドヤ顔決めポーズが多く、歌舞伎用語でいうところの「見得を切る」

例えば橋の下でロープ片手に二人の主人公が手を取り合うシーンなんか、歌舞伎の掛け声のごとく「よっ!ラージャマウリ屋!」(笑)とでも掛けて欲しいといわんばかりのストップモーションが鼻につく。

これをミュージカル映画というカテゴリでくくれるかは正直微妙。

‐テーマはインドの独立で敵対する西欧という図式だが極めてハリウッド的な映画なのであ~る

ストップモーションを多用しつつ、重力的に不可能な人間の挙動をワイヤーアクションで見せるやり口は、まさにキアヌ・リーブス「マトリックス」

細かい点だが、主人公の一人「ビーム」が拷問を受けてるときの顔の演技が「マトリックス」で初代モーフィアスが拷問受けてるときの演技にソックリ。
白目むいて、まぶたをヒクヒクさせるあれ(笑)
顔の系統が似ている二人とはいえ、あの演技はモーフィアスから頂きました~って感じ。

そしてインターミッションをはさんだ後半は、もう言わずもがなのスタローン「ランボー」
もう一人の主人公「ラーマ」がジャングルの中、長髪振り乱し、上半身裸で矢を射る、銃器をぶっ放す姿は、ランボーの再来。

ストーリーはよくある友情系バディ無双で、これまた枚挙にいとまがないほどのハリウッド映画風味。

話のベースは大英帝国の横暴に完全と立ち向かうインド民の独立という、いかにも国民が喜ぶようなスジではあるが、映画の作りが極めて西欧なのが何とも微笑ましい。

‐今後のインド映画に期待するのであ~る

街のレンタル屋さんで、Filmarksの評価 5.0✕3人だったので、ついついレンタルしてしまった本作だが、おしなべて評価が高いのは個人的には謎のまま。

最近、あまりぱっとしないハリウッド映画界がアナザスカイ的な意味合いで外国作品にバズりを求める傾向があるようで、この作品もそういう”バズり”に乗っかってる感がある。

Googleの社長がインド出身だからなのか、本作のタイトル「RRR」を検索すると、二人の主人公が颯爽と馬とバイクにまたがるシーンを模したアニメーションがブラウザ上に流れる。

世界的な検索エンジンが、ひとつの映画作品を”推す”ためにイースターエッグを仕込むというのは、この映画を”バズ”らせようという証左であって、その宣伝効果は計り知れない。

冒頭のインド映画都市伝説は別として、世界でもっとも映画館の多い国:インド、そして、映画製作本数がもっとも多い国:インド
といった統計情報は事実で、あの国が映画大国であることは確か。

ハリウッドはじめとする各国の映画界も、そんな映画の巨人国に何気に気を使い映画賞をあげ、持ちつ持たれつの関係を築くことで興行的メリットを享受しようという腹づもりがあるのかもしれない。

ただ、今どきインターミッション(途中休憩)が入るやたら長い作品は、結末を急ぎ、早回しで映画を観るような若者世代に受け入れられるとは思えず、国民性の違いかもしれないが(映画を最大の娯楽とする国民性)早々に転換期を迎えることになる気がする。

そういう意味において、今後もインド映画から目が離せないのであ~る(あ、3つ縛りなのに4つ言っちゃった笑)
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