ヒデ

RRRのヒデのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「それは歌に対するお金じゃない…!お前の娘は買われたんだ!」

英国人に攫われた妹を助けに向かう指名手配犯(ビーム)と、英国人の元で警察として雇われた隠れレジスタンス(ラーマ)が、お互いの素性を知らないまま親友になってしまう話。

ラーマは武器を故郷に届けるために権力を得ようとするが、そのためには英国人が血眼で探しているビームを捕まえる必要があった。そして二人はそれを知らずに出会い、力を合わせて少年を助けたことで親友になってしまう…というなんとも皮肉な設定。

とにかく面白すぎて、3時間があっという間。最高すぎる作品。

膂力のみで状況を打破していくアクションシーンは圧巻の一言で、狼と虎との闘い、英国人の敷地での二人の戦闘シーン、森の中での弓を用いたスコットとの戦闘、ラストの宮殿爆破は特に素晴らしかった。弓のシーンは前作のバーフバリを彷彿とさせるカッコ良さ。

個人的にはバーフバリより、ドラマに入りやすくなっていてラージャマウリ監督の進化を感じた。冒頭でマッリが捕まえられて母親の頭がカチ割られるシーンや、村が襲われて子供が撃たれたりするシーンはめちゃくちゃ効いてるし、何より総督が言う「その銃弾はインド人1人の命より尊い」というセリフが抜群。当時の英国人の選民思想が端的に表されている名台詞。ただ、一概にイギリス側を悪者にせず、ジェニーという超善人のヒロインを置いたのも素晴らしい。

英国人からの苛烈な差別に対し、本来憎み合う必要のない二人が闘う運命となり、それを共に乗り越える。お互いがピンチになった時、我が身を顧みず助けに行くくだりが熱すぎた。処刑シーンで絶対に跪かなかったシーンも超好き。

史実に残る差別を軸にしたドラマ、メイン二人の皮肉な関係性、お互いの家族と恋人への熱い愛、キレキレのダンスシーン、そして凌駕するアクション。すべてが見事に融合した傑作だった。

最後、ジェニーはそれでいいのか、「銃を持たない革命(=武器ではなく思想)」のくだりは無くなったけどいいのかとちょっと思ったけど、それを差し引いても歴史に残る作品だと思う。

スナク首相が誕生して、これからのイギリスはどうなっていくのだろうか。


以下、セリフメモ。


「銃弾1つの価値を知ってるか?7つの海を渡り、英国製の金属が使われている。銃弾が銃口に収まるまでの費用は1ポンド。褐色人なぞに使うな」

(押し寄せる大量の民衆を前に)
「あの男を捕まえてこい!」

「よくお聞き。この男を捕らえたものを特別捜査官に任命するわ」

「マッリを助けるためにデリーまで来たんだ」

「タイヤをパンクさせたんだ。見ていろ。ここで止まるはずだから」

(お互い言葉が通じない中で)
「マダムと呼ばないで。私の名前はジェニーよ」
「マダムト…なんて長い名前だ…」

「踊りを知らないだって?"ナートゥ"を見せてやろう」

「あなたのその瞳…ずっと何かを探しているようだわ」

「毒蛇だ。お前は1時間以内に死ぬだろう」

(広場で鞭打たれるビームに対して)
「血飛沫が見たいの。この鞭を使って」
「絶対に跪かせろ!命乞いさせるんだ」

「銃を持たない革命を知った」

「装填(リロード)…狙え…撃て!」

「もうすぐ死ぬのに体を鍛えるとは愚かだな」

「政府から手紙が届いたの。≪2日後にラーマを絞首刑にする。身元を引き受けに来い≫って…」

「俺は妹のために闘っていたが、兄貴は国家のために闘っていたんだな」

「狙え。銃弾の真価を発揮する時だ」
ヒデ

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