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ふたりの女、ひとつの宿命のleylaのレビュー・感想・評価

ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)
4.0
ハンガリーという国に生まれたことで苦労を強いられた監督が描く、2人の女性の生き様とファシズムの脅威。

ファシズムが台頭する1936年のハンガリー。裕福な令嬢スィルヴィアは不妊症で、友人イレーンに夫の子供を産んでもらうことに…。

想像のつく代理出産のメロドラマだと思っていたら、後半にもうひとひねりあるストーリーが待っていた。

代理出産をするうちに友人の夫を愛してしまったイレーン、夫とイレーンに嫉妬するスィルヴィア。産むイレーンと産めないスィルヴィア、どちらの心情も立場もヒリヒリするほど辛い。

若くてクセのない役のユペールが美しすぎます。ツインテールのユペール、花をちょん切るユペール、毛皮の匂いをクンクン嗅いじゃうユペール、何をしてても可愛かった。言語が違うのでアフレコなのかな、そこが少し残念。

ドキュメンタリー映画出身の監督だからか、ドイツ主催のオリンピックやハンガリーの軍隊などのドキュメンタリー映像が世相を反映していて、こういう時代だったのかとドキッとします。

監督の父はスターリンの粛清により命を落とし、母は出産で命を落としたという。3作観ましたが、その辛い経験がどの作品の根底にも刻まれています。
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