ひろあき

彼⼥の権利のひろあきのレビュー・感想・評価

彼⼥の権利(2020年製作の映画)
4.2
シアターコモンズの企画によって同時上映されたイズマイロボの他の作品とまとめて感想を書く。睡眠不足+レッドブルで見たので細かいことはあまり覚えていない。

あの悠々たる自然には、地図上にしか姿を現さない国家という概念の影響力が未だ及んでいないように思われるのだが、気のせいだろうか?

ヴェールに全身を包み乾燥の地に座る/佇む彼女らの集団は、異文化に生きる我々に対して、強い存在感、無個性で非人間的な印象、恐怖を与えながら、一方で、彼の地に横たわる岩、多大な労力と高度な技術が存在せしめた大きな壺、繁殖するキノコのような自然的で人間的で湿り気のある豊穣な命の流れを感じさせる。そしてこの流れは、ウズベキスタンという地の霊性として彼女の作品に刻印されている。

鉄道が真っ直ぐ進むのと対比されるかのように、ヴェールを脱いで息を切らせて走る女性が巻き戻されるあのカットは、近代化と伝統に引き裂かれる女性像を十分に体現していたが、それよりも(国家以前の?)ウズベキスタンという土地のもつ超人間的=極人間的な力が奏でる子守唄に心を奪われてしまった。
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