旅するランナー

金の糸の旅するランナーのレビュー・感想・評価

金の糸(2019年製作の映画)
4.5
【91歳監督からの金の言】

ジョージアの女性監督、ラナ・ゴゴベリゼさんが91歳で撮った作品。
彼女から、僕たちへ贈ることばに溢れています。
人生の先輩からの金言がキラキラ散りばめれているのです。

79歳の誕生日をむかえた女性作家が主人公。
彼女と元夫の電話会話によってふり返られる、それぞれの人生。

心緩やかにさせる映像、心震わせる音楽、心にしみ入る言葉。
まどろみの先に、人生観、死生観、歴史観が見えてきます。
ソ連時代における表現の不自由も垣間見られます。
ロシアによるウクライナ侵攻という状況下で見ると、心締め付けられます。

それと、題名の金の糸というのは、日本の金継ぎのことです。
陶磁器の破損部分を金属粉で装飾して仕上げる伝統的な修復技法です。
そんなところからも、作品の内容が日本人の心に共鳴するのでしょう。
金の糸で、過去をつなぎ合わせるという、監督の思いがしっかり伝わってきます。