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私の帰る場所のwisteriaのレビュー・感想・評価

私の帰る場所(2021年製作の映画)
3.8
2022年アカデミー短編ドキュメンタリー賞ノミネート作品ということでNetflixで初鑑賞。

アメリカ🇺🇸西海岸の諸都市における近年のホームレス問題に取材したドキュメンタリー作品。

これは2021年のアカデミー作品賞を受賞した『ノマドランド』とコインの裏表のような関係だと思う。あちらではホームレスではなくハウスレスだと言い、アメリカの大自然を背景にその日暮らしの車上生活を詩的かつ美的に歌い上げたものだけど、そのようなノマドライフが可能なのはフランシス・マクドーマンドの主人公ファーン含め白人ばかりだった。こちらで映されるホームレスは黒人・ラティーノ・障がい者・セクシャルマイノリティなどの比率が高く、自らそのような暮らしを積極的に選んだのではなくそれを余儀なくされた人たちが多い。公的支援がないわけではないが、いかにそれが不十分かがいくつかのケースを通じて時に涙ながらに訴えられる。

新作バットマンやジョーカーのゴッサムシティが格差社会を背景に治安の悪さを強調しているがそれもあながち荒唐無稽な設定ではないことが実感される。

ただ短編とはいえ全般に取材対象への踏み込みが浅くドキュメンタリーとしての迫力は食い足りない。また劇伴音楽や編集も小綺麗な印象でこのような深刻な内容に相応しいのかも考えさせられた。

とはいえ40分でも学びのある一見の価値あり!なNetflixらしい社会派ドキュメンタリーだった。
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