ドント

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズのドントのレビュー・感想・評価

3.7
 1999年。あらっぽくて、おもしろかった。50万ポンドの借金を背負った仲良しバカ4人組、おとなりに住む荒くれモノたち、骨董品の銃をタダで手に入れようとする胴元、胴元に雇われた借金取り立て人、銃の盗みを任されたアホふたり、大麻を育てるうらなり学生、クレイジーなヤクの売人らがシッチャカメッチャカに絡まってワーッとなる。
 はなはだ勉強不足で、ガイ・リッチーとステイサムが世に出たクライム映画、という知識しかなかったものの逆にそれがラッキーだったようで楽しめた。やはり映画というのは前情報が少ない方がよい。名作とか傑作とか、濃い人々に支持されるような映画であれば特に……
 タランティーノの影響下にあるのは明白でありナレーションが多い序盤こそ「どうなるんかいな……」と心配になったものの、タラのように奔放ではなく、全部ぶちまけといて見といてくださいよ~! アラヨッ! とばかりに一枚の絨毯に織り上げてみせる手つきはナイスと言う他ない。
 これがより楽しいのは、本作がすごいリッチな映像とか巧みな演出で仕上げているわけではないからであろう。ケチと馬鹿と悪い奴しかいないロンドンの下町、BGMのロックはうるさいほどで、いかにも低予算で演出も編集も乱暴である。
 であるが、だからこそキャストスタッフみんなの「やってやるぜ!!」感が宿っており、汚い茶の色合いとか役者どもの顔つきもあいまってなんかこう、「おう!」という気持ちになる。出てくる輩も適度に醜い心の持ち主で絶妙に嫌いにはなりきれない。こまっしゃくれた映画はたくさんあるが、「おう!」と思わせてくれる映画はそうない。悪友と付き合っているような気分になる、ナイスな映画である。
ドント

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