荒野の狼

手紙-殺しへの招待-の荒野の狼のレビュー・感想・評価

手紙-殺しへの招待-(1975年製作のドラマ)
5.0
前半は謎の殺人予告の手紙に恐怖に陥れられる村野武範と3人の男が主役、後半は村野に心を寄せる竹下景子が主役。竹下はブレーク前のはじめての主演作品。最初の数回を見ると、悪妻を持って苦悩する村野に竹下が同情し、それにひし美ゆり子や伊佐山弘子がヌードシーンで視聴者をひきつけ、美男美女がお決まりの結末になる展開が容易に予想されます。ところがサスペンスが回を追うにつれて高まり、殺人に発展しますが、限られた登場人物なのに、殺人の動機も手段も、犯人もまったく見当もつかない。一回20分ほどの20回の連続ドラマですが、原作がしっかりしているためか、犯人が最終回近くになってもわからない。わかってからもラスト5分まで結末の予想がつけられず、いい意味で視聴者の予想を大きく裏切る内容です。ひし美のヌードばかりが強調されている商品説明ですが、事件の鍵を握る女を演じるひし美の演技は見事で本作では助演ではありますが、彼女のなかの傑作の一つに数えられるべき作品。妖艶というよりは成熟した大人の女性の魅力のひし美とひたむきで清楚な竹下景子を見るだけでもファンには価値がありますが、二人の存在を抜きにしても、一級の推理ドラマとして、一般の視聴者にも薦めたい作品。性描写・殺人シーンなどは穏当で中学生からの鑑賞が適当。
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