けんたろう

私たちはどうかしているのけんたろうのレビュー・感想・評価

私たちはどうかしている(2020年製作のドラマ)
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一番どうかしているのは日テレのおはなし。


主演の浜辺美波は、屈託のない笑顔でキラキラとした役よりも、こういう苦渋に満ちた顔面で苦悩する役の方が似合っているのではないかと思った。
ただ単純に今までの僕が彼女の笑顔と泣き顔を苦手としていたからなのかもしれないが、しかし本作で見せてくれた一面に惹かれてしまったのは確かだ。

彼女に対して「可愛い」「可愛い」と皆んなが口を揃えて言うのに、
「あんな小癪な小娘なんぞに惑わされねぇぞ俺は」
なんて突っぱねていた、あの頃の自分を一発、いや二十発ほど殴ってやりたい。浜辺美波、可愛かった。

また、意地悪な姑というステレオタイプな役柄でありながら、光月庵の愛、夫の愛を受けられなかった妻の哀愁も感じさせる観月ありさも良かった。


しかし作品は、いやもっと細かく言うならば最終回はかなり酷い。
まず、3,4人のそれぞれの回想によって露呈される真相は複雑めいていて、とてもこんな形で明らかにするべきではないものに思えた。
さらに、幾重にも展開されたドラマおよびサスペンスはそう簡単に締まるものではなく、そのエンディングは性急で、些かやかましくもなっていた。
全8回の放送で、最終回が1時間拡大放送(『半沢直樹』でさえ15分しか拡大しなかったのに❗️)だった事からも、なにか大人の事情を感じずにはいられない。本当は9,10回ほど放送する予定だったのではなかろうか。


なんて不満を持ってしまいはしたが、口紅がいやに似合う美男美女揃いの画はやっぱり眼福。
水曜の夜、良いものを観させてもらった。