こぼちゃん

梨泰院クラスのこぼちゃんのレビュー・感想・評価

梨泰院クラス(2020年製作のドラマ)
5.0
クァンジンのウェブ漫画『梨泰院クラス』のドラマ化、ソウル市の飲食店激戦区・梨泰院(イテウォン)を舞台に、飲食業界での成功を目指して仲間と共に奮闘する若者たち(全16話)。

高校時代、正義感の強いセロイ(パク・ソジュン)は外食産業大手の長家(チャンガ)グループの御曹司チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)の傍若無人な言動に我慢できず、一発殴ってしまい退学処分。父親は20年間勤めていた会社を辞める羽目になる。さらに、グンウォンが起こした交通事故で父を亡くしたセロイは、グンウォンに暴力を振るい刑務所行きとなる。

長家グループを倒すと心に決めたセロイは7年後、梨泰院で「タンバム」という小さな居酒屋を開き、仲間たちと共に再起を目指す。

主人公はイガグリのセロイ、好きな人はスア (クォン・ナラ)、企画のイソ(キム・ダミ)、元ヤクザ、トランス・ジェンダー、宿敵の庶子、黒人がスタッフ。敵は、創設者のデヒ、長男グンウォン、共同経営者ミンジョン。

一般的に、企業に大切なものは、顧客、株主、社員と言われますが、それがよく分かるドラマ。胸を打つような言葉が沢山。

<方針・企業理念、夢>
俺の人生はとても苦い。夜も眠れない。人生を少しでも甘くしたいから、店名は、タンバム(甘い夜)。

経理団通り全体を賑やかにする、タンバム1の店にする、世界一のチェーン店にする(目標や夢を語れると仲間や社員がイメージできる。No.1のプライド、自信、見入りが、さらなるやる気に繋がる)

<人材育成>
お前の味は今一つだ。給与を二倍出すから、二倍頑張ってみよう。トランスジェンダーだからと言うやつは手を上げろ。誰だろうと俺は切る(人を動かすのは、お金ではなく、信じてる、期待しているとの言葉や思い。そして任せっぱなしではなく、Off-JTとOJT、この場合、味の確定)。

<差別的商品の開発、父との約束>
会社の強みは、コチジャンの豚肉炒めとジャン(そのたれ)。それを開発したのは主人公の父。何度も、亡き父の回想や夢を見たり、墓前で誓ったりしますが、愛しき人を助けるため、今は死ねないという主人公が格好いい。また、初めて強い主人公が泣きじゃくるシーンも胸アツ。

<株主の信用、マイノリティ>
黒人トムの親戚が大株主だったことが分かり、頭を下げ、公約通り、TV番組でトランスジェンダーの料理が優勝する。

マイノリティが自分たちの境遇を乗り越えていく姿が格好いい。トムも、英語を覚えて、苦手を克服。外国人客のチャンスを広げる。

商品やサービス、仲間の結束に頑張った主人公、セロイと、本来、自分たちの力量を発揮すべき処を、他者を蹴落とすことにのみ躍起になった、長家一族との対比が勧善懲悪でとてもよかった。

生きるのは辛いこと。それでも楽しいこともある。俺を必要とする仲間がいて、俺も必要とする仲間がいて、それが楽しい。
(逃げるのは容易だけど、それでは無間地獄。人のせいにしてばかりも無間地獄、夏目漱石の草枕のよう)。

個人的に、漫画の二人は素敵ですが、実写のヒロインは今一つ、感情移入できず。ファンも多く申し訳ないです。個人の偏桃体だから仕方ない。それでも、見ていて、明日も頑張ろうと思える、素晴らしいドラマでした。

二人が歩く坂道や夜のレストランが素敵だった。坂道は、東京なら渋谷の道元坂やスペイン坂、麻生の狸坂・南部坂・仙台坂を思い出す。夜のトワイライトは、東京タワーの見えるミッド・タウン、六本木ヒルズ、表参道、カレッタ汐留を思い出しました。
こぼちゃん

こぼちゃん