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ロキ シーズン2のmaverickのレビュー・感想・評価

ロキ シーズン2(2023年製作のドラマ)
4.5
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のテレビシリーズで、2021年にDisney+にて配信された『ロキ』の続編。2023年10月6日より配信が開始された。


MCUでも屈指の人気を誇る、ヴィランのロキを主役としたテレビシリーズ。前作のシーズン1では彼の魅力を存分に描き、かつMCUの世界観を大きく広げる驚きに満ちた展開で楽しませてくれた。その完成度の高さからシーズン2の制作は納得であったし、あの衝撃的な最終話の続きが気になって仕方なかった。ここのところ低迷を続けていたマーベルだが、本作ならばそれを打破してくれると信じていた。結果はそれを補ってなお余りあるほど。上質なドラマであり、脚本の完成度の高さでいえばMCUの中でも最上位であろう。

毎回が衝撃の連続。唸らせるような驚きの展開に見悶える。マルチバースの難しい話ではあるが、それでいて内容は頭にすっと入ってくる。脚本が洗練されているなという印象。作品性としても、純粋に前作の深掘りに努めていて好感が持てた。MCUの他作品との絡みが豊富に無いのは残念ではある。だがその分、本シリーズ単体としてのクオリティの追及が図られている。マーベルとしては英断であったと思う。

前作よりも格段に成長したロキの雄姿を見ることが出来る。『アベンジャーズ』の時点でヴィランだったのがもはや信じがたいほどだ。ロキは元々がヴィランなので、本作にスーパーヒーローものとしての演出味は薄い。それっぽいスーツも着ないし、子供がわくわくする作品では無いだろう。だが世界の崩壊を救うために行動するロキの姿は、紛れもなくヒーローそのものである。終盤なんてめちゃくちゃかっこよくて、そのままアベンジャーズ入りしてほしいほど。父と母がその雄姿を見れば泣いて喜んだことだろう。このロキなら兄と真に心を通わせられたはず。そう考えると胸が熱くなった。

前作から引き続き登場する、カーン役のジョナサン・メジャース。彼が問題なく出演出来たことは救いであった。私生活上のトラブルで一時は降板も予想されたが、どうやら問題は解決したよう。良い俳優であるし、本作でも彼の存在感は圧倒的。このシリーズには、彼が演じるカーンの存在が必要不可欠なのである。

ロキに力を貸す新たな仲間を、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンがコミカルに演じる。アカデミー賞の助演男優賞を獲ったばかりの彼が参戦することが、本作の目玉のひとつでもあった。彼が演じるウロボロスは実に魅力的なキャラクター。ロキに対して淡々と説明するだけで笑いを誘う演出が最高だった。メビウス役のオーウェン・ウィルソンを含んだ3人の関係性は本作の癒しでもある。シリアスな作品性の中にも笑いが溢れているのが心地よかった。


MCUの他作品とは完全に別次元の話。これが今後どう絡むのかが楽しみでもある。それは置いておいても、本シリーズ単体で十分すぎるほどに満足を得られた。ロキというキャラクターを、ここまで長く描いてくれたことにも感謝しかない。

次のドラマシリーズは2024年1月に配信の『エコー』だが、本作の完成度を見れば期待も高まる。楽しみだ。
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