あかつか

トロツキーのあかつかのレビュー・感想・評価

トロツキー(2017年製作のドラマ)
4.5
冒頭から堂々たるスターリン批判。え、これロシア国営放送制作なの!?というのが率直な感想。ロシア革命100周年記念で制作された全8回のドラマ。スターリンだけでなくレーニンの狡猾な姿の描き方にも驚くこと請け合い。


レフ・トロツキー。赤軍の指揮官としてレーニンに次ぐ地位にありながら、孤高すぎてスターリンの政敵となり、亡命先のメキシコで暗殺される。党内きっての理論派で男性的な魅力もあり、今なお高い人気を誇る彼の半生を、インタビュー・ウィズ・トロツキー方式で描く。そして全8回のうち、半分くらいは女を抱いている。しかも違う女性を!(それも含めてロシア国営放送制作なの!?と思わないではいられない)。

「階級闘争という法則では私の行動は全て正当だ」

「革命のためには時には犠牲も必要だ」

自分の選択を正当化し続けるトロツキーの姿勢に「?」を浮かばせる構成。万人の自由のために、何を犠牲にできようか。地位か友人か家族か幸福か、はたまた祖国か?自分の信念のためには冷酷であったトロツキーを描く一方、革命への過程の99%が主導権争いであることも描かれている。

「君が破壊した世界は確かにひどい人間もいた。だが君のおかげでまともな人間もいなくなった」


登場人物が多いうえに大して説明もないのでちょっとこんがらがるのは仕方ないとして(ロシア人に新撰組とか赤穂浪士みせるようなものなのかもしれない)、字幕の誤植が多いのはもうちょっとなんとかしてチョーダイ。とはいえそれを差し引いても面白い。誰が正しいとか正しくないとかではなくて、(シャストニ処刑で突然現れた)アグラーノフのような小男的な態度や振る舞いを見て、ややもすれば我々はアグラーノフになりがちなのだと考えなくてはならない。


しょうもないこと言うと、途中からトロツキーがミキの弟に見えて仕方なかった。あと、「インターナショナル」流れるのちょっと印象的。ホントに流れんだーって。
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